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『ケロタン』第1話「動き出した運命」(1/3)

 

多種多様な知的生命体の混在する惑星――《アフカルト》。

これはそんな星から始まる、不思議な物語――。

 

 

 

 

 

 KEROTAN

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  第1章 ~Brave Stone of Legend~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  一・動き出した運命

 

 

 

 

 《ザアアアアアアアァァァァァ

 

 その夜――インド大陸災い渦中かちゅうにあった。

 縦横無尽に吹き荒れる風、弾丸の如く降り注ぐ雨。激しく翻弄される木々、無惨に削られる大地。

  空を覆い尽くした黒雲がもたら す完全なる闇の中、狂気的擾乱じょうらんが破壊と蹂躙じゅうりんの限りを尽くしていた。

 

 ……。

 

 如何いかなる者にも容赦しない自然の猛威――が、今この地に訪れているのだ。

 

 ◆ ラインド大陸・東部 ◆

 

 大陸全土を襲う――この未曽有みぞうの豪雨。

 物語始まりの舞台であるここインド大陸東の地も、大きな被害を受けていた。

 川という川は氾濫し、脆弱ぜいじゃくなる木々はぎ倒され、あらゆるものが宙を舞い、何処かへと消えてゆく。

 

 その光景は、まさに混沌

 

 踏み荒らされ、流され……、あらゆるものがその姿を変えさせられていく。

 今ここには、静寂も、平和も無い。

 故に何が起きても、始まっても、おかしくはなかった。

 

 ◆ 赤い城 ◆

 

 混乱の中に、悠然ゆうぜんそびえ立つ――アグニス・ランパード

 運命は、今宵こよいこので起こるとある事件をきっかけに、大きく動き出すことになる。

 

  《ザアアアアアアアァァァァァ

 

 「…………。」

 

 叩き付ける雨風の音わずらわしく、男は鬱陶うっとうしげに窓の外を一瞥いちべつした。

 予報によると、明け方近くまでこの状態が続くという。

 

 「はぁ……。」

 

 大して気にならないと高を括っていたが、案外気が散るものだと嘆息たんそくする。

 しかし、今更場所を変えたくはなかった。

 はそのまま作業を続行する。

 

 《ザアアアアアアアァァァァァ!

 

 だが、自然のオーケストラはより勢いを強め、絶え間なく雑音を届けてくる。

 

 《ゴオオオォォォオオオン!!

 

 遂には雷まで加わってきた。

 

 「…………。」

 

 しかしそれでも、は構わず、黙々と作業を続けた。幾度となく集中を乱されようと、ミスをしようと、決して休まずパソコンのキーボードを打ち続けた。

 

 その様子は、何処か不気味であった。

 それ以上をうかがい知ることは誰にもできない。

 

 このの名は――アグニス・ランパード。そう、彼こそが、ここインド大陸東の地を治める――そして魔科学者としても活躍する稀代きだいの天才である。

 頭からは黄色い角を生やし、皮膚は赤く、後はデフォルメされた蜥蜴とかげのような姿をしているが、化け物ではない。このでは、彼のような種族ラド族と呼ばれている。

 

 《シュウゥゥン

 

 数十分後、長い作業を終えたアグニスは、パソコンの電源を落とし、部屋を後にした。

 尋常ではない多忙な日々。今日も作業を終える頃には日が変わっていた。

 しかしながら、彼の表情に疲れの色は無い。ラド族は基本的に体力が多いのだ。疲弊ひへいすると頭部の角が変色するが、彼のそれにまだ異常は見られない。

 

 「やぁ、見回り御苦労。」

 

 寝室に向かうアグニスは、廊下で警備中の兵士(ラド族)に声を掛けた。

 

 「はっ! 異常無しであります!

  今日もこんな遅くまでお仕事ですか?」

 

 「あぁ、どうしても片付けておきたくてな。」

 

 経歴だけではなく、高貴さを感じさせない友好的な性格も、多くの民の好感を得ている。

 彼がいれば、もう二度とあのようなこと・・・・・・・は起きないと、誰もが信じていた。

 

 「ふー……。」

 

 寝室に入ったアグニスは、ベッドに横たわり、五日ぶりの休息を取らんとする。

 幾ら疲れにくい身体とはいえ、休める時に休んでおくことは大切だ。

 

 しかし、今日に限っては――その判断はあやまちだったのかもしれない。

 

 

 ◆ アグニス城近隣・リンゴの森・ケロタンの家 ◆

 

 

 同時刻――半球状の窓から外の様子を眺める一人のロッグ族がいた。

 彼の名は――ケロタン。ここリンゴの森に自分の姿を模した家を建て暮らしている変わり者である。

 その姿は、何とも形容し難い。体が丸と棒のみで構成されていて、棒人間のような姿と言うべきか……、をイメージできるのだが、それもまた適当ではない。

 

 (何か……良くないことが起きなきゃいいが……。)

 

 彼はボタンを押し、窓を隠すと、ベッドに横たわった。

 勘の鋭い彼は、この時感じていたのかもしれない。

 

 闇に紛れて迫る、巨大な悪意を――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何者かの

 

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 XXXXは歩いていた。

 足元には白く光り輝く水が流れていた。

 先には大きな扉があった。

 水は扉から流れて来ていた。

 XXXXは流れに逆らい歩いた。

 足に何かがぶつかった。

 XXXXはそれを見た。

 それはジグソーパズルのピースだった。

 拾わずに蹴飛ばした。

 

 (必要無い。)

 

 心の中でそう呟いた。

 XXXXは扉の前に辿り着いた。

 そして力いっぱい、その扉を押した。

 大きな扉は、簡単に開いた。

 XXXXの体は光に包まれた。

 ふと、後ろを振り返った。

 パズルのピースが闇に飲み込まれていくのが見えた。

 

  (…………)

 

 XXXXは扉の先に進んだ。

 そこは真っ白な空間だった。

 水はまだ流れている。

 XXXXは進んだ。

 何処までも、何処までも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆ 朝七時・ケロタンの家 ◆

 

 

 《ピピピピピピピピピピピピピ!

 

 鳴り響く目覚まし時計。しかし、布団は既にもぬけの殻。

 

 「はぁ……。」

 

 普段から早起きなケロタンは、やはり自分には必要の無い物だったかもしれないと、溜息をきながら軽く項垂うなだれる。

 しかし、折角のオーダーメイドを捨てる気にはなれない。

 ケロタンは、渋々自分の姿を模した目覚ましの頭を叩きに行った。

 家もそうだが、彼の持ち物には何故だかやたら自分の姿を模した物が多い。それだけ自分が好きということだろうか。

 そうそう、好きと言えば、彼には大好物がある。それは今日の朝食のサンドイッチにも挟まれているウインナーだ。彼の一番の特徴と言っても過言では無い程に、彼はウインナーに目がない。

 一応、誤解の無いよう言っておくが、これはロッグ族全てに共通することではない。

 ロッグ族は実に多様な種族で、生まれ育った環境によって、属性、嗜好、体の形、皮膚の色等が大きく異なるのだ。

 しかし、ケロタンには、生まれてから十数年分の記憶が無い。

 自分の生まれも、力も、何故ウインナーが好きになったのかもよく分かっていない。

 しかしながら、彼がそのことについて悩んでいる様子は見受けられない。特に支障は無い為、気にしていないのだ。

 

 《朝七時七分になりました。ニュースの時間です。》

 

 朝食をとりながら、ケロタンはテレビで朝のニュースをチェックする。

 

 (何か面白いニュースないか……。)

 

 代わり映えのしない退屈な日々。

 彼は刺激を求めていた。それも超特大の刺激を。

 

 そして――その願いは、唐突に叶えられることとなる。

 

 《今日未明、アグニス城に何者かが侵入し、盗みを働いたとのことです。詳しくはピーペさん、お願いします。》

 

 《はい! こちらアグニス城前!》

 

 画面が切り替わり、アグニス城と、トンガリヘアのリポーターが映された。

 

 《盗まれたのは巨大ロボットの設計図。部屋の窓ガラスが空けられていたとのことで、犯人はそこから出入りしたものと思われます! 犯行時間は、今日未明、一時~三時の間だと、警殺けいさつはみているようです!》

 

 画面の奥で警殺と話すアグニスの顔は暗い。どうやら盗まれた設計図はかなり重要なもののようだ。

 

 《現在、犯人に繋がる手掛かりは何一つ掴めておらず、警殺の捜査は難航すると思われます。

  不審な人物を目撃した方、怪しげなものを見かけたという方は、すぐにシルシル警殺までご連絡ください!

  以上です!》

 

 《はい。ありがとうございました。

  それでは次に、台風の被害状況をお伝え――》

 

 《プツッ――

 

 ケロタンはそこでテレビを消し、残りのサンドイッチをくわえた。

 

 《バンッ!

 

 そしてすぐに、家を飛び出していった。