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『異端のネシオSIDE』「マジシャンズパレード編」☆1(1/3)

 

 We are all of us stars, and we deserve to twinkle.

 (私達は皆、星であり、光り輝くに値する。)

 

Marilyn Monroe(マリリン・モンロー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、星空の綺麗な、ある真夏の夜の出来事――。

 

 

 東京都三鷹みたかにある病院の一室で、一つの命が誕生した。

 

 助産の手の中で、周囲の不安を掻き消すほどの元気な産声を上げた女の子。

 

 彼女の名は、一番星いちばんぼし 流々るる

 

 流星のように勢いのある、輝かしい人生を送ってほしいという想いを込めて、その名前が与えられた。

 

 母親は、自分の娘を胸に抱きながら、ようやく泣き止んだ彼女の顔を愛おしそうに見つめる。

 

 子どもを産むのは初めてで、聞いていた通り辛い体験だったが、こうして乗り越えた後は、後悔の感情なんて湧いてこない。

 

 夫も一安心といった様子で、我が子を見守っている。

 

 

 「…………?」

 

 

 ふと窓の外に目を移すと、暗い夜空に一筋の光が流れた。

 

 あれはもしや……。

 

 

 「あ……、見て、流星群……!」

 

 「おお。ちょうど活発な時期だからな。良いタイミングだ。」

 

 

 父親も一緒に窓の外を見つめ、その光景の美しさに溜息をらす。

 

 三大流星群の一つ――ペルセウス座流星群

 

 まるで新しい生命の誕生を祝福するかのように、次々に現れては消えるそれを、二人は息を呑んで見つめた。

 

 

 「凄いな……。こんなに激しいのは滅多に……。」

 

 「そうだね…………あ、流々が……。」

 

 

 視線を戻すと、娘もじっと窓の外を見つめていた。

 

 生まれて間もないというのに、星が見えるのだろうか。

 

 彼女は小さな目を開き、流れる星々をその瞳に映している。

 

 

 「やっぱり……、あの子がくれたこの本の御蔭かも……。」

 

 

 母親は近くに置かれていた絵本を手に取り、その表紙を見つめた。

 

 

 『ほしぞらのみこ

 

 

 これは前にプラネタリウムに来ていた小さな女の子から貰ったものだ。

 

 中はクレヨンや色鉛筆で書かれた字の無い絵本だが、自分で台詞を想像するのが楽しく、見ていると、不思議と心が落ち着くというか、穏やかになる。

 

 その他にも良いことが幾つも起こって、妊娠中のストレスをかなり和らげてくれた。

 

 本当に不思議な絵本……。

 

 

 「流々にも見せてあげるからね。」

 

 

 きっと気に入ってくれる筈だ。

 

 

 「ねぇ、折角だから……流れ星に願い事しない?」

 

 「そうだな……。どんなのがいいかな。」

 

 「やっぱり、生まれてきたからには、元気に育って、一番を取ることを目指してほしいなって思う。

  何でもいいから、物事を途中で諦めたりせず、真剣に頑張れる子になってほしい……。」

 

 

 目を閉じ、我が子の未来を想像する。

 

 親の期待なんて迷惑だとは思うけど、流れに任せるだけでは、子育ては上手くいかないことを知っている。

 

 だから、ちゃんと向き合っていきたい。

 

 

 「じゃあ……、一緒に願おうか。」

 

 「うん……。」

 

 

 彼らは流れる星の下、手を重ね、心の中で願う。

 

 我が子の幸せを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【天至8年

 

 

 この年の流星群は、いつもより明るく、夜空を彩ったという……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

☆ SUPER NEGATIVE ★ ~流れる星のファーストステージ~ ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  天至21年4月6日(水)☆

 

 

 

 「行って☆きまーす!!」

 

 

 扉を開け、元気良く家を飛び出す私。

 

 時刻は早朝六時ジャスト。

 

 晴れ渡る空の下、春の空気を吸いながら、自然溢れる通学路を走る。

 

 

 《パシャ

 

 

 その途中、自撮り写真SNSにアップし、大量のスターを獲得することを忘れない。

 

 

 

 「ふふっ☆」

 

 

 私の名前は一番星 流々。今日から中学一年生

 

 新生活への期待で気分は最高! 制服はぴっかぴかで準備バッチシ!

 

 私が通う星明ほしあかり学園は、施設一体型小中一貫校だから、校舎を移動するだけなんだけど、新しい教室には、やっぱり一番乗りしたいよね!

 

 

 「おー、流々ちゃん。おはよう。」

 

 「あっ、ふるさんおはよ!」

 

 

 立ち止まっていると、草木の向こうから声をかけられた。

 

 あの人は舊草ふるぐささん。いつも朝早く起きて植物の水やりをしてる、植木職人のお爺さんだ。

 

 

 「今日から中学生?」

 

 「イエス! JC! つまりはジャパンチャンピオン。遂に日本一の称号を得た訳だよ。」

 

 「はは! どんだけライバルが多くても一番取れる流々ちゃんには突っ込めねぇなぁ。」

 

 「じゃ、今一着目指してるんで。」

 

 「車には気を付けるんだよ~。」

 

 

 余裕を見せながらのダッシュ

 

 大丈夫。テレポート加速能力持ちの子は、ギリギリまで家に居たい筈だから、この時間ならまず登校しない。全力で走らなくても勝てる。

 

 

 (私が本当に気を付けなくちゃいけないのは……。)

 

 

 「はっ……!」

 

 

 気配を感じ、辺りを見回す。

 

 

 「…………。」

 

 (まただ……。)

 

 

 姿は見えないのに、近くに誰かがいる、じっと見られている……。

 

 最近、感じるようになったこの不思議な気配……。

 

 最初は気の所為かと思ったが、何度も起きると、流石に気にせずにはいられない。

 

 

 (幽霊……妖怪……透明人間……。やっぱりストーカー……?)

 

 

 どれも恐ろしいものだ。しかし――。

 

 

 (ふふ、何でも来い。)

 

 

 《パシャ》《パシャ

 

 

 もしかしたら心霊写真みたいに何か写るかもしれないので、自撮りも兼ねて周囲の景色を撮りまくる。

 

 そして、上手く撮れたものをSNSにアップ。

 

 

 (これで良し。

  幽霊は……私が眩し過ぎて写ってないなぁ。)

 

 

 増えていくスターとコメントを見ながらにやにやする流々

 

 普段から不特定多数の人間にその姿を晒している彼女にとって、ストーカーなど恐れるに足らなかった。

 

 寧ろトラブルは大歓迎。

 

 彼女はこの怪現象もまた、己が輝く為の舞台装置とするつもりだった。

 

 

 「さぁて……!」

 

 

 やることをやった流々は、再び学園へ向けて走り出す。

 

 

 「元気一番星! 今日も輝くぞー!!」

 

 

 その声は、早朝の住宅街に響き渡った。

 

 

 

 

 ☆ まじぱれ ☆

 

 

 

 

 ≫ 東京都三鷹市星明学園

 

 

 

 

 「あ、ルル、おはよー!」

 

 「おはよー!!」

 

 

 校門に立ち、登校してくる生徒に元気に挨拶をしていく。

 

 星徒会せいとかいの正式な朝の挨拶運動は明日からだけど、それがなくても毎日やってるし、今日は入学式で、新しい生徒も登校してくる。

 

 スターを目指す者としては、やらずにいられない。

 

 

 「ねぇ、私、Cクラスなんだけど、ルルは何処になった?」

 

 「だよ☆」

 

 「あー、やっぱルルは一番かぁ。」

 

 

 星明学園では、三年毎にクラスが変わる。

 

 ランダムではなく、成績や生徒の相性などが考慮されるらしいので、学年トップの私は当然、頭のAクラスだ。

 

 

 「寂しいかい? アンナ。」

 

 「まぁ、教室は近いし、アプリでいつでも会話できるし、そんな影響ないでしょ。」

 

 「だよね~。あ。」

 

 

 友達と話していると、ふんわりした水色髪の女子生徒が、顔をこちらに隠すようにしながら校門を通り抜けようとしていた。

 

  

 「みなもちゃん、おはよー!!」

 

 「あわっ……! お、おはようございます……。」

 

 

 伏し目がちに挨拶を返したみなもちゃんは、そそくさと昇降口へ向かっていく。

 

 

 「相変わらず、水くさいなぁ、もう。」

 

 「そんなこと言って、また勝手に親友扱いしてるだけなんじゃないの?」

 

 「あはは。でも仲良くなりたいのはほんとだよ。気になるし。」

 

 「それじゃまた。あ、星送っとくね。」

 

 「私もー☆」

 

 

 タブレットの画面を操作し、星を送り合う。

 

 上に表示されている総合スターを確認すると、もう100個近い星が送られてきていた。

 

 

 (う~ん、好感触☆)

 

 

 これは星明学園タブレットと共に全生徒へ提供しているコミュニケーションアプリHOSHI Meホシミー)」。

 

 

 ある大学生が中心になって開発されたものらしく、これには個人が個人を評価できる機能がある。

 

 それがこの星。一人の人間に、一日三回まで感謝の星をプレゼントできるのだ。

 

 勿論、教員にもあげられるから、良い授業をしてくれた先生に星をあげることで、気軽に感謝の気持ちを伝えることができる。

 

 とても便利なもので、教員用のアプリにはランキング機能もあり、それを見れば、どの人がどれくらい学園に貢献しているかが丸分かり。

 

 星の数が多い人間は、それだけ多くの生徒や教師に認められているってことだし、逆に星の数が少ない人は、頑張りが足りないか、空回ってるってことが分かる。

 

 一学期が終わる度に、学年別に星の数が一番多い人が表彰され、色んな特典が貰えたりするし、進学が有利になるから、皆モチベーション上がりまくりだ。

 

 勿論、私は毎回全学年トップ。スクールカーストの頂点に立っている。

 

 え? このアプリいじめの原因になったりしないのかって?

 

 大丈夫。「HOSHI Me」にはいじめを通報できる機能もある。

 

 いじめを見つけたら、場所や状況、分かるなら加害者の名前などを入力して、職員室に通報。

 

 勿論、匿名で通報できるので、これの御蔭で勇気が足りない人でもいじめ防止に貢献できるという訳だ。

 

 悪戯でなければ通報者には多めの星がプレゼントされ、加害者には全ての星が没収されるなどのペナルティが与えられる。

 

 このアプリが導入されてからは、いじめはほとんど駆逐されたという。

 

 他にも悩み相談や、生徒間でメッセージを送り合ったり、通話したりできる機能もあるんだけど……、全部詳しく説明してると長くなるので、この辺にしておくね。

 

 

 (さて、そろそろ教室に戻ろうかな。)

 

 

 誰と同じクラスになるのか、楽しみだ。

 

 

 

 

 ☆ まじぱれ ☆

 

 

 

 

 「あわわわ……!」

 

 「いや~、まさか、みなもちゃんと同じクラスで隣の席なんて、これはもう運命だね!

  これから三年間よろしく!」

 

 「あわわわわ……。」

 

 

 大して暑くもないのに、汗だらだらなみなもちゃん

 

 そんなに緊張することある?

 

 星明学園では、席の順番は五十音順じゃなく、AIが相性が良いと判断した組み合わせで決めてるから、そんなに心配することないと思うんだけどなぁ。

 

 ここはぐいぐい距離を詰めていい筈だ。

 

 

 「みなもちゃん! 星三つ!」

 

 

 私はタブレットの画面をタップし、みなもちゃんに一気に星を送った。すると――。

 

 

 「ひいぃぃ! スターダスト!?」

 

 「ゴミ屑扱い!?」

 

 「あっ、違、な、何で星を……?」

 

 「ふふ、私と隣になったことで実績が解除されたんだよ。おめでとう!」

 

 「記念……? じゃ、じゃあ私も……申し訳ないし……。」

 

 「お。」

 

 

 タブレットの画面にみなもちゃんからのスターが表示された。

 

 

 「ありがとうみなもちゃん! 好き!!」

 

 「あわわ~!!」

 

 

 抱き締められ、沸騰するかのように赤くなるみなもちゃん

 

 肌は汗ですべすべしていて、何だか気持ちいい。

 

 

 

 「と、トイレ行ってきますぅー!!」

 

 「あっ。」

 

 

 みなもちゃんは限界に達したのか、にゅるんと手から逃れて、教室を出ていってしまった。

 

 もうすぐ入学式なのに。戻ってくるといいけど……。

 

 

 (まぁ、恥ずかしがり屋ってことなら、落とし方は分かってるよ。)

 

 

 

 

 ☆ まじぱれ ☆

 

 

 

  次の日の昼休み。

 

 

 「ルルちゃん、一緒に食べる?」

 

  「あ、ごめん。今日はみなもちゃんと食べるんだ。」

 

 「ええっ!?」

 

 「さ、屋上にレッツゴー!!」

 

 「あわ~!!」

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 みなもちゃんを連れ、屋上にやってきた。

 

 ここはテラスになっていて、休み時間にいつでも生徒が利用できるようになっている。

 

 私とみなもちゃんはベンチに座って、一緒に弁当を広げた。

 

 

 「おお、みなもちゃん。凄いの飲むね!」

 

 「わ、私、汗っかきだから……。」

 

 

 タンクと呼んでも良さそうな大きさの水筒を両手で持ち、ゴクゴクと中身を飲んでいくみなもちゃん

 

 凄く美味しそう。

 

 

 「私も飲みたい!」

 

 「ええっ!? あそこの自販機に似たようなもの売ってるけど……。」

 

 「それがいいの! 代わりにほら、私の弁当分けてあげるから。」

 

 「あわっ……。」

 

 

 流々が見せてきた物体を見て、水漏みなもれ ルゥは思わず声を上げた。

 

 それはなんと、星型・・の弁当箱だった。

 

 

 「な、何それ……。」

 

 「へへ、可愛いでしょ☆」

 

 

 あまりにも奇抜過ぎる。おかしの箱ならありだと思うが……。

 

 

 「い、いいよ……、私は自分のあるし。」

 

 「そんなこと言わないで中も見てよ。」

 

 「あわぁぁぁ……!」

 

 

 ふたを開けられて更に驚いた。

 

 中に入っていたのは、星型のニンジン、星型の卵焼き、星型のリンゴ、そして星型のハンバーグなど……。

 

 ぞっとするほど星型にくり抜かれた料理のフルコースだった。

 

 

 「それ、何……?」

 

 「美味しそうでしょ。私が作ったんだ☆」

 

 「る、ルルちゃんが……?」

 

 

 こんな変なものを……?

 

 

 「ほら、騙されたと思って食べてみて。」

 

 

 ごはんの上に小さなハンバーグが乗せられる。

 

 つまみやすくはあるが、不気味過ぎて食欲をそそられない。

 

 しかし、断る勇気は無く、ルゥはとりあえずハンバーグを箸で二つに割ってみた。

 

 たっぷりかかったソースに、ジュワっと溢れ出す肉汁。綺麗な焼き色。口に入れても問題無さそうだが……。

 

 

 「ん?」

 

 

 何かに気付いたルゥは、ハンバーグに顔を近づけてよく見た。

 

 

 「!?」

 

 

 恐ろしいものが目に入る。

 

 なんと、ハンバーグの中に入っている小さな具まで、星の形になっていた……!

 

 

 

 「ひぃぃぃ! 職人技!!」

 

 

 ルゥは素早くハンバーグを元の居場所に返すと、その場から逃げ出した。

 

 

 「ああっ! 何処行くの!?」

 

 「私には早過ぎるぅー!!」

 

 

 どうやら刺激が強過ぎたようだ。

 

 ベンチの下に小さな水筒を一本残し、屋上から出ていってしまった。

 

 仕方なく流々はそれを手に取り、そのまま口に付ける。

 

 中身はスポーツドリンクのようだが、市販されているものとは若干味が違う気がする。

 

 しかし――。

 

 

 「美味い!」

 

 

 ますます水漏 ルゥのことが知りたくなる流々であった。

 

 

 

 

 

 ☆ まじぱれ ☆

 

 

 

 

 

 放課後、体育館――。

 

 

 《♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪》

 

 

 館内に響く、ポップでキュートなBGM。

 

 そのリズムに合わせ、両手に玉房たまぶさ 状の飾りを付けた女子達が、ダイナミックな踊りを披露する

 

 組体操の如く作られたピラミッド。その頂点に立ったのは、一番星 流々

 

 曲が終わりを迎えると同時に、彼女の胸に付いていた星のアクセサリーが強く光り輝き、その場は大きな拍手に包まれる。

 

 

 《パチパチパチパチ!!

 

 

 顧問も大絶賛の出来栄え。

 

 この時間、チアリーディング部の一員である流々は、部の仲間達と共に、見学に来た新入生に向けて様々な技を披露していた。

 

 

 「「イェーイ!!」」

 

 

 ジャンプし、華麗に床に着地した流々は、駆け寄ってきた顧問と一番にハイタッチを決める。

 

 

 「ジョージちゃん、輝き具合どうだった?」

 

 「完璧! 昔、彼と見たクリスマスツリーを思い出しちゃったわ~!」

 

 

 まさにフラッシュバック。

 

 

 「ねぇジョージちゃ~ん、喉渇いた。休憩にしよー。」

 

 「そうね。おやつにしましょ。沢山用意しておいたから、見学の子達にも配ってあげて。」

 

 

 部員全員から慕われている、ジョージちゃんこと、琴美ことみジョージ・エリダヌス先生

 

 女言葉を使うが、れっきとした男性である。

 

 

 「楽しんでもらえたかしら?」

 

 

 見学に来た新入生に声をかけるジョージちゃん

 

 

 「はい! でもやっぱり、難しそう……。自分にはハードル高いかなって。」

 

 「あの一番上の人、凄い動いてたよね。」

 

 

 チアリーディングの魅力は、何と言っても複数人による華やかな演技だが、視覚的効果の高さが重要視される為、体操選手以上の激しい動きが要求される。

 

 イメージとは裏腹に、かなりハードなスポーツなのだ。

 

 

 「ふふ、流々ちゃんは天才なの。

  どんな難しい技でも華麗に決めるオールラウンダー。それでいて、チームをまとめ上げるリーダーシップもある。

  だから彼女と一緒に学べば、あなた達もきっと上手くなれるわ。こんなチャンス、二度とないわよ!」

 

 

 それに、運動して筋肉を付ければ、基礎代謝が上がって、痩せやすくなる。

 

 汗をかくことで肌も綺麗になるし、女子にとって良いこと尽くめだ。

 

 心の中でそっと補足した流々は、箱からパウチゼリーを取り出し、中身を一気に吸い切った。

 

 チャージ完了!

 

 

 「一秒飯すな。」

 

 「あは☆」

 

 

 水溜りボンドみたいなことしてたら、ポンポンで叩かれた。

 

 

 「あれ? それ何見てるの?」

 

 

 部員の一人が携帯を見ながらにやにやしてたので、尋ねてみる。

 

 

 「STAR39ライブ配信

  流々知らない? 今、めっちゃ流行ってる。」

 

 「知らない。それ、なんてアプリ?」

 

 「NEGATIVネガティブ。」

 

 「NEGATIV?」

 

 

 聞いたことないアプリだ。

 

 

 「あ、リンク送るよ。

  招待コードも付けとくから、ダウンロードしてみて。」

 

 「うん……。」

 

 

 何か引っかかるものを感じつつも、送られてきたリンクをタップする。

 

 すると間もなく、ホーム画面に蝙蝠のようなマークのアイコンが出現した。

 

 

 「…………。」

 

 

 何だろうこのアイコン。

 

 見ていると、何だか頭が痺れるような……。

 

 

 「あの……流々ちゃん……。」

 

 「え?」

 

 

 話しかけられ、我に返る。

 

 振り返ると、そこには後輩部員巣桐すどう つぐみちゃんが立っていた。

 

 

 「ちょっと……相談したいことがあるんだけど……。」

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 「実は……プリペイドカード盗まれたみたいで……。」

 

 「えっ、いつ?」

 

 「多分、昼休み。財布に入れてたんだけど、一回席から離れたから。気付いたのはついさっき。」

 

 「入ってたのどれくらい?」

 

 「えっと……1380円だったと思う。

  そんなに多くないから、大事にするつもりはないんだけど……。」

 

 「1380……。分かった。

  犯人探そう!」

 

 「お願い。多分、クラスの誰かだと思うんだけど……。この時間だともう帰っちゃってるかも……。」

 

 「ふふふ、任せて。もしかしたらすぐ突き止められるかもしれないから。」

 

  「え?」

 

 

 私はすぐに体育館の中からタブレットを持ってきて、NEGATIVを起動した。

 

 

 「さっきちらっと見えたんだけど……。」

 

 

 部の仲間がすすめていたSTAR39チャンネルを検索し、ライブ配信動画を開く。

 

 そして流れるチャットを少しさかのぼり、該当コメントを見つける。

 

 

 「これ、1380円投げ銭してるユーザーがいるんだよね。」

 

 「犯人ってこと?」

 

 「まだ断定はできないけど、この配信始まったの五分くらい前みたいだし、タイミング的に有り得るかなって。」

 

 

 私は何かヒントが得られないかと、1380円の投げ銭をしたユーザー[Musca]のアイコンをタップし、アカウントを開いた。

 

 

 「…………あっ、プロフィールSNSのリンク載せてる。」

 

 

 私は迷わずタップ。

 

 ブラウザが開き、呟きが表示されていく。

 

 

 「何か分かった?」

 

 「完璧。小学五年生って書いてあるし、最新の呟きに添付されてる写真に部室が映ってる。これ写真部じゃない?」

 

 

 タップして大きくした写真をつぐみちゃんに見せる。

 

 

 「写真部……。えっ、待って。このアカウント……もしかして喜多映きたばえちゃんかな。」

 

 「友達?」

 

 「友達ってほどでもないけど、席が隣。」

 

 「よし……、確かめに行こう!」

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 ≫ 星明学園・小学部校舎三階写真部部室

 

 

 「アハハハ……!! は、腹が……!」

 

 

 扉が開きっぱなしの部室に入ると、そこでは帽子を被った一人の女子生徒がタブレットの画面を見ながら笑い転げていた。

 

 恐らく、喜多映ちゃん。 投げ銭したのが彼女なら、STAR39の配信を見ている途中の筈。

 

 私は後ろからそおっと近付き、彼女のタブレットを覗き込んだ。

 

 

 「他人の金でする投げ銭、楽しい?」

 

 「うんwww、うわぁ!!」

 

 「はい。ちょっと鞄の中見せてねー。」

 

 

 動画に夢中の喜多映ちゃんを押し退け、椅子の下に置かれていた鞄の中を漁る。

 

 

 「あ、あった。」

 

 

 奥の方を調べると、聞いておいた特徴と一致するカードを発見。有罪確定だ。

 

 

 「これ、盗んだ奴じゃない?」

 

 「な、何でそんなこと。」

 

 「いや、裏に名前、巣桐 つぐみって書いてあるけど。」

 

 「…………。」

 

 「さっきSTAR39投げ銭してたよね?

  つぐみちゃんに返してくれるかな? 1380円。」

 

 「も、もう金ないし……。」

 

 「え?」

 

 「だって、全部投げちゃったんだもん!」

 

 「えー! 理由になってないよ!」

 

 「か、カードは……後で返すつもりだったし!」

 

 

 う~ん、この期に及んで意地が悪い。

 

 

 「だったら、この話は星徒会まで持っていくしかないね。」

 

 「えっ。」

 

 「今、この場で返さないなら、仕方ないよね~。」

 

 

 私はきびすを返し、部室から出ようとした。

 

 

 「ああー! だ、だったら、こうしよ。

  Tower of Rankersで私が勝ったら、借金はチャラってことで。」

 

 「いや、盗まれたんだけど……。」

 

 

 後ろにいたつぐみちゃんが思わずツッコむ。

 

 けど、Tower of Rankers……。悪くない提案だ。

 

 ランカーたるもの、目の前の勝負から逃げてはならないという掟もある。

 

 

 「いいよ! その勝負乗った!」

 

 「ええ……!? 受けるの?」

 

 「勿論☆ 私が勝ったら、1380円、きっちり払ってもらうからね!」

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 「「ランカーズファイト!!」」

 

 

 部室から外の広場に移動し、衆人環視の下、対戦を開始する。

 

 先攻は喜多映きたばえ すずめちゃん

 

 勝たなきゃいけない勝負だけど、どんなカードを使ってくるのか楽しみだね。

 

 

 ― TURN 1 喜多映 LP5000 ―

 

 

 「私のターン!

  スキルカードクロス現像》を発動!

  手札・フィールドのユニットを素材に、合成召喚を行う!」

 

 

 合成召喚――。

 

 二体以上のユニットを素材にする特殊な召喚方法だ。

 

 ただ素材のユニットを揃えるだけじゃなく、合成召喚を行うカードも必要になる。

 

 

 「私は《幻像のバエル・マブル》と、《死骸のバエル・マブル》を合成フュージョン!」

 

 

 体にカメラのレンズが付いたハエが二体出現し、混ざり合う。

 

 

 「合成召喚! 現れよ、光と影をとらえし者――《混沌のバエル・グラマブル》!!」

 

 《ブブブブブブブ!!

 

 [Rank X4・POWER 2200]

 

 

 フィールドにモノクロの巨大バエが出現し、大きな羽音を立てる。

 

 ステータスには、属性:悪種族:インセクトと表示されていた。

 

 

 「うわぁ、すっごい悪趣味……。」

 

 「綺麗なものばっかり撮っててもつまらないんだよねー。そんなの世の中に溢れまくってるし。

  今の流行りはハエだよ!」

 

 「聞いたことないよ……。」

 

 

 ドン引きするつぐみちゃん

 

 

 「うるさい! 素材となり、ソウルエリアに送られた《死骸のバエル・マブル》のスキル発動!

  デッキから《バエル・マブルシリーズスキルカードを1枚手札に加える。

  私が加えるのは《デーライトシンクロ》。

  そして《血痕のバエル・マブル》を召喚!」

 

 

 [Rank 2・GUARD 800]―召喚石 1/3

 

 

 今度は赤いハエが出現した。更に展開していく気のようだ。

 

 

 「《血痕のバエル・マブル》のスキル発動!

  ソウルエリアの《幻像のバエル・マブル》をディメンションエリアに送り、デッキから自身と同名のユニット――つまり《血痕のバエル・マブル》をもう1体召喚!」

 

 [Rank 2・GUARD 800]

 

 「《幻像のバエル・マブル》は、《バエル・マブル》のスキルでディメンションエリアに送られた時、手札に戻る。

  そして召喚!」

 

 [Rank 2・GUARD 800]―召喚石 0/3

 

 

 これで下級のハエユニットが三体。

 

 

 「《幻像のバエル・マブル》のスキル発動!

  フィールドの《バエル・マブル》を素材に合成召喚を行う!」

 

 「もう1体呼ぶつもり……?」

 

 「ふふ、今度は《幻像のバエル・マブル》と、《血痕のバエル・マブル》二体。合計三体のユニットを素材にする!

  合成召喚……!」

 

 

 三体のハエが混ざり合い、肥大化していく……!

 

 

 「醜悪なる星巣せいそう……! 《天胎てんたいのバエル・グラマブル》!!」

 

 

  [Rank X6・GUARD 3500]

 

 

 「何あれ……。」

 

 

 無数のハエが集まったかのような見た目の丸い星が、宙に出現した。

 

 ガードの数値は3500。防御タイプのユニットか……。

 

 

 「最後に《混沌のバエル・グラマブル》のスキル発動!

  ソウルエリアの《バエル・マブル》1体をディメンションエリアに送ることで、次のターン終了時まで、そのユニットと同じスキルを得る。

  私が送るのは、《幻像のバエル・マブル》。

  そしてさっきと同じように、このユニットは手札に戻る!」

 

 「ターン1付いてないの!? 壊れじゃん!」

 

 「そんなカード作ってるから、お金無くなるんだよ……。」

 

 「うるさい! ターンエンド!」

 

 

 

 ターンが切り替わり、自分の番が回ってくる。

 

 

 「大丈夫そう? 流々ちゃん。」

 

 「任せて。」

 

 

 

 ― TURN 2 一番星 LP 5000

 

 

 

 (ライフ5000なら、あのカードがくれば勝てる筈……!)

 

 

 自分のデッキを信じ、カードを引く。

 

 

 「私のターン、ドロー!」

 

 

 引いたカードを確認……!

 

 そのカードは――

 

 

 「!

  よし……! 一気に決めちゃうよ!」

 

 「……!?」

 

 「まずは燦々さんさん輝く太陽の光! 《☆★プリチアトップフレーズ―サンライト☆★》を召喚!」

 

 [Rank 3・GUARD 800]―召喚石 1/3

 

 「続けて、暗い夜空を照らす星の光! 《☆★プリチアトップフレーズ―スターライト☆★》を召喚!」

 

 [Rank 2・GUARD 600]―召喚石 0/3

 

 

 流々のフィールドに、太陽と星の形をした舞台照明が出現する。

 

 

 「《スターライト》のスキル発動!

  デッキから《プリチアトップスター》1体を手札に加える。」

 

 「おっと! シャッターチャンス!!

  《幻像のバエル・マブル》のスキルを得ている《混沌のバエル・グラマブル》のスキル発動!

  一度だけ、Rank 9以下のユニットが発動したスキルを無効にする!」

 

 

 突然、割り込んできた喜多映ちゃん

 

 でも、これは想定内。

 

 

 「残念☆ 調子に乗ったところ悪いけど、スキルカード☆★コメットシャワー☆★》発動!

  このカードの効果で、このターン、場の《プリチアトップ》の攻撃とスキルは無効にされない!」

 

 「はぁ!?」

 

 「よって、私は《プリチアトップスター》を手札に加え、召喚!

  《プリチアトップスター―ドレミラージュ》!!」

 

 

 [Rank 6・POWER 2000]

 

 

 流々の場にカラフルな衣装を身に纏った魔女っ子が出現!

 

 

 「このユニットは、自分フィールドに《プリチアトップフレーズ》が二体以上存在する時、コスト無しで召喚できる。

  そして! スキルにより、デッキからスキルカード☆★超銀河応援団☆★》を手札に加え、これを発動!

  場に《プリチアトップスター》がいる時、デッキから《プリチアトップフレーズ》1体をコスト無しで召喚できる。

  私が呼び出すのは、《プリチアトップフレーズ―ナイトビジョン》!」

 

 

 [Rank 5・GUARD 2400]

 

 

 流々の背後に、夜空を映し出す巨大なモニターが現れる。

 

 

 「これで準備はバッチシ。

  スキルカード☆★流星バースト通信☆★》を発動!

  自分フィールドの《プリチアトップスター》を手札に戻し、戻したユニットとは別の《プリチアトップスター》を召喚するよ!」

 

 

 流々は手札のカード1枚を高く掲げ、光らせた。

 

 

 「うっ……! その輝きは……!」

 

 「本日の主役はこの子!

  お金を盗むような悪い子には、月に変わっておしおきタイム!

  召喚!! 《プリチアトップスター―クレセントムーン》!!」

 

 

 《ピカーッ!!

 

 

 カードからより強い光が放たれ、《ナイトビジョン》が映す夜空から、長い金髪の美少女戦士が姿を現す。

 

 あれが一番星 流々のデッキのエースユニットプリチアトップスター―クレセントムーン》!

 

 

 [Rank 7・POWER 2800]

 

 

 「《プリチアトップフレーズ―サンライト》がいることで、《プリチアトップスター》の攻撃力は+500!」

 

 [POWER 2800 + 500 = 3300]

 

  

 「攻撃力3300……!」

 

 「それだけじゃないよ!

  召喚時、《クレセントムーン》のスキル発動!

  自分の場の《プリチアトップフレーズ》の合計Rank分、自身のRankをターン終了時までアップ!」

 

 

 [Rank 7 + 3 + 2 + 5 = X7]

 

 

 「ランクX7……!?」

 

 「そう。そして、自身のランク以下のランクを持つ、相手ユニット1体に攻撃力分のダメージを与え、破壊した場合はそのユニットの元々の攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える!」

 

 「ハァッ!!」

 

 

 《クレセントムーン》の足から放たれた三日月の光が、《混沌のバエル・グラマブル》を貫き、破壊する。

 

 その攻撃力は2200。よって、発生ダメージも2200

 

 

  [喜多映 LP 5000 - 2200 = 2800]

 

 

 「くっ、でもまだ終わる筈ない。

  《天胎のバエル・グラマブル》がいれば……。」

 

 「破壊された時、場に沢山ユニットを呼ぶんだよね?」

 

 「……!」

 

 「私は《プリチアトップスター―クレセントムーン》で、プレイヤーに直接攻撃!」

 

 「《天胎のバエル・グラマブル》でガード!」

 

 

 ガードの数値は35003300では防がれてしまうが……。

 

 

 「スキルカード☆★フレー彗星☆★》発動!

  場の《プリチアトップフレーズ》の数×300ポイント、《プリチアトップスター》1体の攻撃力をアップするよ!」

 

 

 [POWER 3300 + 300×3 = 4200]

 

 

 《ズドオォォォン!!

 

 

  [喜多映 LP 2800 - 700 = 2100]

 

 

 光に包まれた《クレセントムーン》の蹴りが炸裂!

 

 《天胎のバエル・グラマブル》は破壊され、超過ダメージが喜多映を襲う。

 

 

 「スキル発動……! 《天胎のバエル・グラマブル》が破壊された時、ソウルエリアの《バエル・マブルシリーズユニットを、合計Rankがこのユニット以下になるよう、最大三体まで蘇生……!」

 

 「それはできないよ。《☆★プリチアトップフレーズ―ナイトビジョン☆★》のスキルで、《プリチアトップスター》が破壊したユニットはスキルを発動できないからね!」

 

 「なっ……!」

 

 「そしてこれで終わり。

  自分フィールドに《プリチアトップフレーズ》が三体以上存在し、《☆★フレー彗星☆★》の効果を受けたユニットがバトルでユニットを破壊した場合、攻撃力を半分にして、もう1度攻撃できる!」

 

 「よ、4200の半分ってことは……。」

 

 「さぁ、払ってもらうよ! 1380円!!

  《プリチアトップスター―クレセントムーン》で、プレイヤーに直接攻撃!」

 

 「はえぇぇぇー!!」

 

 

  [喜多映 LP 2100 - 2100 = 0]

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 「ありがとう! 流々ちゃん!」

 

 「はえぇぇ……。」

 

 

 風のように早く散った喜多映ちゃん

 

 つぐみちゃん1380円は、彼女が写真部の部員から借金することで戻ってきた。

 

 これで一件落着!

 

 ……とは、いかないよね。

  

 他の子にも聞いたところ、最近、STAR39投げ銭し過ぎて金欠になる生徒が増えてることが分かった。

 

 それで友達や親のお金を盗む子まで出てきてるというから、かなり問題だ。

 

 

 (この人、そんなに面白いかな……?)

 

 

 アーカイブを少し見てみたが、他の配信者の邪魔したり、買った商品をボロクソに叩いたり、所謂、迷惑系の配信が多く、とても見ていられるものじゃなかった。

 

 なのにアンチコメントが0なんて、何だかおかしい。

 

 

 (異能かな……。)

 

 

 そもそもこのNEGATIVというアプリ自体、ストアに存在していない。出所不明のものだ。

 

 怖いが、情報を得る為にもアンインストールはできない。

 

 

 「ふぅ……。」

 

 

 (とりあえず帰ってから考えよう。)

 

 

 場合によっては星徒会案件になるかもしれない。

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「…………。」

 

 

 同時刻――。

 

 星明学園の屋上から、帰宅する生徒達の姿を眺める一人の男の姿があった。

 

 

 「あのぅ……調子はいかがですか……?」

 

 

 背後にはもう一人――黒いスーツに身を包んだ、教師姿の女性が立っている。

 

 

 

 「上手くいってるよ。

  ただ、厄介なのが一人。芯が強過ぎて俺の力があまり効いていない。」

 

 「ど、どうするつもり……ですか……?」

 

 

 女はやけにおどおどしながら、男に尋ねる。

 

 

 「勿論、徹底的に潰すに決まってるだろ……。

  派手なことをする・・・・・・・・っていう契約もあるしな。」

 

 「はぁ……良かった。忘れてたらどうしようかと思ってました……。」

 

  「…………忘れねぇよ。忘れる訳ねぇだろ……。」

  

 

 男は拳を握り締め、その瞳に怨嗟えんさの炎を燃やしていた。

 

 

 「必ず後悔させてやる……。

  無自覚なバカ共も一緒にな。」

 

 「うぅ……、気を付けてくださいね……。」

 

 

 女はそう言うと、校舎の中へと戻っていった。

 

 

 「ふん……。」

 

 

 男はそれを見送ると、再び下に目を向けた。

 

 

 「一番星 流々……。

  お前は一体どれだけの悲劇を生むんだろうな?」

 

  

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

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