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『ケロタン』第7話「墓場の森のミューバス屋敷」(3/3)

ケロタン:勇者の石+5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ Ghosts exist ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ~、マジで流されるところだった……。」

 

 地下から出てきたケロタンは、膝から崩れ、両手を床についた。

 あの反則級のリアリティ。普通に思考停止しかけたが、落ち着いて考えれば、言動の中に確かに矛盾したこと・・・・・・があった。

 は単に形や思いを映すものであると言っていたのに、悪戯な幽霊テロの姿を模倣したり、地下に行かせないようを仕掛けたり、まるで自我があるかのような振る舞いをしたことについてはスルーしていた。

 魔物化していたら分からないが、それならそうと言う筈。魔科学者は人一倍言葉には気を付けるもの。本物かどうか試してみたのは正解だった。

 

 (あのまま付いて行ったら何処に行っていたやら……)

 

 考えるだけで嫌になる。

 ――というか、結局、ここには何がいるのか? 偽物の言ってたこと全てが嘘とも思えないし……

 

 「ケロタ~ン!!

 「ん。」

 

 聞き覚えのある声と駆け寄ってくる足音に顔を上げると、テロの姿。

 今度こそ本物か……? 何か後ろに連れている・・・・・・・・・・が……

 

 「ウ~~、ウ~~!」

 

 テロより一回り大きいサイズの、頭にコブの生えた紫色のスモールノーマン。宙に浮いているが、似たようなものをさっき見かけた。追いかけられているのか。

 

 「ウ~~、ウ~~!」

 「おい、何やってんだお前。」

 

 ケロタンスモールノーマンコブを掴んで止めた。

 すると――

 

 《ぽんっ☆》「あっ?」

 

 なんとコブが取れ、手の中で生き物のようにうねうねと動き出す。

 

 「うおおっ! 気持ち悪!!」

 

 思わず放す――と、それには段々と口が出来、目が出来……、さっき箱の置かれていた部屋で見た人形そっくりの姿となって、ふわふわ宙を飛んだ。

 

 「何だ……。」

 「うわー!!」

 

 ――っと、コブに気を取られている場合じゃない。

 謎のスモールノーマン人形テロを捕まえると、廊下の奥へと飛んでいく。

 向かう先にある大きな扉が開かれ、その中へ――

 

 「待て!」

 

 ケロタン魔物である可能性も考え、拳に力を溜めながら追いかけた。

 そして、開いた扉に入ると――

 

 《パンッ!》《パンッ!

 

 「……!?」

 

 そこは……パーティー会場

 クラッカーが鳴ると同時に、丸いテーブルがメリーゴーランドのように回転しながら集まって、その上に食器が並べられていく。

 

 「ホラ、座って、座って!」

 

 いつの間にか背後にいたぬいぐるみに背中を押され、椅子に座らされた。

 ナプキンをかけられ、ナイフフォークを握らされる。テロも同様だった。

 

 「メニューは、海蛇うみへびのペルロギーニュ妖鶏ようけいのカアルテッソ……

  う~ん、ゼンブ! ゼンブ持ってくる!」

 

 銀の蓋の乗った皿が次々と目の前に置かれる。

 

 「ここってレストランだったのか?」

 

 あまりの勢いの良さに疑問が湧く。名前はいかにも高級料理といった感じだが……

 ケロタンは蓋を取り、中身を確かめてみた。

 

 「ん?」

 

 皿の上に乗っかっていたのは……、何だこれ?

 くしゃくしゃに丸まった紙や、絵の具の塊に見える。

 

 「ゴミ箱の中身みたいなコースだな……。」

 「ン? 料理ってこういうのじゃないのか?」

 

 宙に浮いたぬいぐるみ料理(?)香水らしきものを振りかけた。

 

 「まぁ、こんな場所に食い物はねーよな……。

  誰なんだ? お前は。」

 「ゴードル! オレ達、ゼンブ、ゴードル! オマエらはなんて言うんだ?」

 「ケロタンテロだ。俺達以外に誰か来なかったか?」

 「あっ、お客はメッタに来ない! 最近は増えたけど、アイツが遊びの邪魔する!

  だから、数を増やして皆で追い出そうと頑張ってたんだ!」

 「アイツ?」

 

 《ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

 

 揺れる。

 さっきもちょっと揺れたが、霊界にも地震があるのか。

 

 「アイツだ。」

 

 ゴードルは床を見つめる。

 

 「オレ達で道を塞いで地下に閉じ込めてるけど、上がってこようとしてるんだ。

  危ないから誰も行かないようにしてるんだぞ。」

 「じゃあ、あの仕掛けはお前がやったのか……。」

 

 話が本当なら、行方不明者のことも守ってくれてたんだろう。

 

 「よし、そういうことなら俺達に任せろ。その地下のバケモノ倒してやるよ。」

 「ホントか!?

  あんなデカい奴倒せるのか!?」

 「お、おう。」

 

 デカいのか……。まぁ、この揺れだもんな。

 

 「テロ、一旦、アグランと合流するぞ。」

 「うん……!」

 

 ◆ 霊界の屋敷・2階・廊下 ◆

 

 《ゴゴゴゴゴゴゴ……!

 

 ケロタンテロ二階に上がると、ちょうど調査を終えたアグニスが戻ってきていた。

 二人は揺れに気を付けながら、廊下の奥より歩いてくる彼の元へ駆け寄る。

 

 「アグラン!

 

 その後ろには、紫色スモールノーマン人形

 鋭いアグニスは、見て大体の状況を察する。

 

 「成程。そいつがゴードルか。」

 「え? 知ってるのか?」

 「屋敷の主の手記に全て書かれていた。だが――」

 

 アグニスは視線を床へと移す。

 

 「その話は向こうに戻ってからだ。

  当然、魔物は綺麗に掃除していくぞ。」

 「そうこなくっちゃ。」

 

 いい加減、鬱憤うっぷんが溜まってたところだ。雑魚扱いして誘き寄せたことを後悔させなきゃ気が済まない。

 

 「テロは大丈夫か?」

 「え、何が……?」

 「今回は相性の悪い相手だ。霊体なら、物理的な攻撃はほとんど受け付けない。

  私とケロタンで向かうのがベストだろう。」

 「う~ん、そうか……。」

 

 仲間が増えたばかりで、つい連れてきてしまったが、魔法中心の戦いになるなら、物理的な防御力も全く役に立たない。

 

 「テロ、待っててくれるか?」

 「うん……、そうする……。」

 

 大人しく従うテロ

 もしかしたら、本能が警鐘を鳴らしているのかもしれない。それもあって、あんな恐怖を……

 

 (今後、こういった場所には連れていけないな……。)

 

 現状はただただ危険にさらす結果になる。

 

 「まぁ、それもその内、解決できる問題だ。気に病む必要はない。

  行くぞ。」

 「ああ。

  ゴードルテロのことは任せた。」

 「ン? もう押さえなくていいのか?

  それじゃ――」

 

 ゴードルテロを掴んで離れていく。

 すると、すぐ始まる震動。魔物を食い止めていた分身達が一斉に散ったようだ。

 

 「相当、気が立ってる感じか?」

 「それは当然、巨大な悪霊――魔物ならば、多くの負のエネルギーを取り込んでいるだろうからな。

  要は怨念の集合体だ。」

  

 《バコォォン!!

 

 壁や床を突き破り、魔物のモノと思しき触手が生えてくる。それは青白く発光しており、近くにいるだけで身体中が痺れるような感覚に襲われる。

 

 「オオオオォォォォォン!

 

 次にやってきたのは、空間を震わす不気味な鳴き声。

 ケロタンアグニスはすかさず臨戦態勢を取り、触手の主が姿を現すのを待った。

 

 《バキキィィ!!

 

 目の前の床が大きく割れる。

 現れたのは、ヒトデのような形をした、巨大な霊体の魔物だった。

 

 「うぉぉ! ホントにでけぇ!」

 「ん……!?」

 

 見るからに二人三人程度の怨念ではない。この場所が墓場であることも何か関係しているのか。

 

 「オオオオォォォォォン!

 

 魔物の体から生える大量の触手が一斉に襲いかかってくる。

 それを見たケロタンバリアアグニス炎の障壁を展開――

 アグニスの方に突っ込んだ触手は、燃え盛り、その場でのた打ち回る。

 

 「《ロダン》!!」

 

 すかさず追い打ち。

 ケロタンの放った光球は魔物の本体を捉え、威勢を削ぐ。

 

 「ははっ、弱点さえ知ってれば余裕だな。」

 「いや、最後まで油断はするな。霊体の魔物打たれ弱い分、厄介な能力を持っている。」

 

 「オオオオォォォォォン!

 

 「……!」

 

 アグニスの言葉通りか。

 魔物は床の破片を吸い寄せ、体を覆う装甲にし始めた。

 それだけではない。部屋の中の物を浮き上がらせ、勢いよく飛ばしてくる……!

 椅子に、ナイフに、像に、石――

 

 「ポルターガイストってヤツか……!」

 

 ここで止まったままでは、防戦一方になる……!

 ケロタンバリアで飛んでくる物を防ぎながら、魔物に向かおうとした。

 ――が、接近すればするほど、全身から力が抜けていく。

 

 「はぁ、何だ? やけに疲れる……!」

 「干からびたくなかったら戻れ。あれに接近戦は禁物だ。」

 

 注意されるまでもなく、エネルギーが吸われているのが分かる。ビリビリして体の感覚が無くなるような……

 

 「離れろったって……、遠くからじゃ時間が……!」

 「お前にあの巨体の回復力を上回る攻撃ができるのか?」

 「それは……、ん?」

 

 今、何か見覚えのある物体を弾いた。

 すぐに目で追うと、それは床に開いた穴に向かってころころ転がっていく。

 あの丸い形……そして色は……

 

 「勇者の石……! 屋敷の中にあったのか。」

 「やべぇ! 落ちるぞ!」

 

 こんな空間の歪んだ場所で取り逃したら100パー面倒なことになる。

 とはいえ、これ以上近付いていったら干物決定――

 ケロタンは動くに動けなかった。

 しかし、その時、何かがふっと横を通り過ぎていく……!

 

 「……! ゴードル!?」

 「へへへ! オレも手伝うぞ!」

 

 ゴードルは一気に勇者の石のとこまで行くと、あろうことか、それを思いっきり魔物に向かって蹴っ飛ばした!

 

 「あぁー! 違う! それはそっちじゃない!!」

 

 飛んでいった勇者の石魔物の体に吸い寄せられ、張り付く。

 

 「いや、あれならば、無くなる心配はない。

  ケロタンゴードル屋敷の外まで走るぞ。」

 「え?」

 

 服の袖の球体を触ったと思ったら、背を向け、走っていくアグニス

 やはり、何か策があるのか。

 ケロタンはついていくことにした。

 

 ◆ 霊界の屋敷前 ◆

 

 「オオオオォォォォォン!

 「ひぃー、関係ないのに当たり散らしやがって。」

 

 外まで逃げ出すが、魔物は何処までも追ってこようとしてくる。

 死んでもああはなりたくないものだ。

 

 「こっちで~す……!」

 「……!」

 

 外にはユタリが待機していた。隣にテロもいる。

 

 「それ~。」

 

 急いで向かうと、地面に魔法陣が浮かび上がり、あわい光に包まれる。

 それは魔物も同じであったが――

 

 「オオオオォォ!?

 

 自分達とは違い、激しく苦しみもがき、縮こまっていく。

 

 「浄化の結界です~。例に漏れず、効果抜群ですね~。」

 「このように衝動的に行動するタイプの魔物なら、簡単ににかけられる。」

 「おぉ……。」

 

 アグニスは時間稼ぎしていたのか。

 あんなにデカかった魔物が、もう勇者の石と変わりないサイズに……。動きもだいぶ鈍い。

 

 「よし、トドメは俺が……!!」

 

 ケロタンは生成した御札魔物に勢いよく貼り付けた。

 

 「《ケロの裁き》!!」

 

 《ピッシャアアアアアン!!

 

 雷撃による、激しい明滅。風前の灯火も容赦なく消し去る一撃だった。

 

 「成仏しろよ。」

 「放っておいても消滅するところだったが……。」

 「うるさい! たまには決めさせてくれ!」

 

 毎度毎度、良いところを持ってかれると、呪いにかかってる気分になる。悪循環は断たなくては。

 ケロタンは言いながら勇者の石を拾う。

 

 「ん?」

 

 そこで、異変に気付いた。

 屋敷のところどころが虫食いのように消え、崩れていく。

 

 「何だ? 魔物はもう……」

 「いや……。」

 

 アグニスは目を細める。

 屋敷の消滅。全員でその光景を見届ける。

 

 「これで未練は無くなった。そういうことだろう。」

 「あの魔物が原因だったってことか?」

 「…………。一旦、墓場の森に戻るぞ。

  いつ歪みが解消されるか分からない。取り残されたくはないだろう。」

 「ああ……。」

 

 アグニスに続き、ユタリ魔法陣の上に乗る。

 そう言えば、ゴードルは何処に行ったんだろうか?

 まさか浄化の結界魔物と一緒に消えたなんてこと……。

 転移するまでの間、ケロタンはずっとアグニスの物憂げな表情が気になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ Ghosts exist ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 あるところに、幽霊のことが大好きな少年が暮らしていた。

 彼は幽霊と友達になりたい。いつか彼らのようになりたいと、いつも思っていた。

 周りの子どもは怖がったが、絵本で読んだ物語の中に出てくるような、悪戯好きで愉快な存在への憧れは、日々強まるばかり。

 そう、よくあるホラー映画に出てくるような、人を苦しめる化け物ではなく、生前と変わらず振る舞い、生きている者達とコミュニケーションを取ることができる存在――

 もし自分もそんな風になれるのなら、死ぬことなど決して怖くない。何も恐れることはないと思っていた。

 しかし、そんな彼のは否定される。

 幽霊は、死んだ本人とは別の存在――

 ある時、そう教えられ、彼は酷くショックを受けた。

 死んだらもう会うことも話すこともできない。永遠に生き続けることなどできない。

 彼は信じなかった。

 死後、自分がこの世から完全に消えてなくなってしまうということを。

 考えただけでも恐ろしかった。

 だから証明しようと考えた。自分の思い描く幽霊が存在することを。

 それから彼は探した。

 幽霊に関するありとあらゆる文献を読み、また、危険と言われるダンジョンに入り込み、幽霊となって存在し続ける者を、或いはその方法を。

 しかし、幾ら探しても、求めるものには出会えなかった。

 幽霊はこの世の何処にも存在しない。彼は先人と同じ結論を出すしかなかった。

 だが――

 彼は諦めた訳ではなかった。

 やがて魔科学者となった彼は、その立場を利用し、禁断の魔法に手を出したのだ。

 いないなら、自らの手で作り出してしまえばいい。常識を書き換えてしまえばいい。生み出せるなら、生まれる世界に変えることもできる筈だと。

 それから彼の研究狂気の道へと進んだ。

 家族さえ犠牲にし、果たして彼は求める結果を得られたのか。

 

 「答えはこれだ。」

 

 アグニスは服の袖の球体を操作し、記録しておいた遺書の内容――その最後に書かれた言葉をケロタンに見せた。

 

 【幽霊は存在する

 

 「…………。あれって訳か。」

 

 ケロタンは半球状の窓から外を眺める。

 

 「オォ~バァ~ケェ~だぁ~ぞぉ~!

 「ひぃぃ!!」

 

 テロを追い回しているゴードル

 勝手についてきた訳だが、どうやらテロを気に入り、取り憑いてしまったらしい。

 

 「まさに幽霊って感じだけど。」

 「いや……、違う。」

 「ん?」

 

 アグニスは目を伏せる。

 

 「幽霊ではない。魔科学者の立場から言わせてもらうとな。」

 「でも……」

 「あれは幽霊のように見える生物・・・・・・・・・・・・だ。思いの残滓ざんしに過ぎない存在とあのようにコミュニケーションを取ることはできない。ミューバスゴードルを成功例だと思うしかなかったのだろう。

  そうしないと、死への恐怖で押し潰されてしまう。」

 「…………。」

 

 禁断の魔法を以てしても、望みは叶えられなかったのか。

 

 「魔物じゃないんだよな?」

 「ああ、結界も効かず、日差しの下でも問題なく活動している。

  しかし、いずれにしろだ。人工的に生み出された生物を野に放つ訳にはいかない。

  管理下に置くのが難しいなら、処分するしかないのが現実だ。」

 「処分……。」

 

 ケロタンは再度、ゴードルを見た。

 

 「生物なら、やっぱり、いつか死ぬんだよな?」

 「その筈だ。未知な部分が多い為、調べるのに時間はかかるがな。」

 「だったら、俺の仲間に加えていいか?

  ミューバスの理想の存在なら、悪い奴じゃない筈だろ?」

 「ああ。ひとまずはそれで構わん。」

 

 アグニスは案外あっさり許可を出す。

 考えは見抜かれていたらしい。

  

 「それで……、もう戻ったみたいだけど、結局、何だったんだ? 空間の歪みの原因。」

 「……。あの屋敷内には色々な装置があった。

  悪戯か何かで、それが予期せぬ動作をすることもある。」

 「そうか……。」

 

 あんましっくりこないが、アグニスがそう言うならそうなんだろう。

 

 「……。お前はミューバスを愚かだと思うか?」

 「う~ん……。幾ら消えてなくなるのが怖くても、家族実験材料にするのはな……。」

  

 共感できる部分はあれど、狂ってるとしか言いようがない。

 

 「を前にしたミューバスは、最後に何を思ったと思う?」

 「……やっぱ、後悔とかか?」

 「違う。さっき見せたものを思い出せ。

  ミューバスが最後に願ったのは、自分の研究成果が残ること。それが強い未練となり、あの屋敷を形作っていた。」

 

 つまり、ゴードルを誰かに連れ出してほしいと。

 

 「について考えた時、お前も何かを残したいと思うんじゃないか?」

 「まぁ、な……。

  それがってのは、個人的にはナシだけど。」

 「……。あれは自分の為だけに残すものではない。後の世を生きる者達の為にもなる。

  最初は大事に思っていたものでも、やはり時間が経てば、存在は薄れていくもの。

  目の前のことしか見えなくなり、道を誤ることもあるだろう。

  そんな時、過去を思い起こさせる物があれば、自分を見つめ直す一つの機会になる。

  お前にはまだ早い話だろうがな。」

 「成程……。」

 

 過去に囚われ過ぎず、かと言って前を向き過ぎず。

 そんな風に自分を調整する機会は必要なのかもしれない。

 理解はできた。

 

 「真っ当な手段で叶えることのできない。理由は様々だが、永遠に生き続けたいと考える者は多い。

  死の存在は、これまで多くの人々を狂わせてきた。お前も気を付けることだ。」

 

 アグニスはそう言うと、家を出ていった。

 

 「か……。」

 

 分からないな。

 どうせ避けられないなら、あまり考えない方がいいんじゃないかと思う。

 きっとミューバス友達がいなかったんだ。

 

 「おい、テロゴードル

  朝食食べてくか?」

 

 こういう時は、ウインナーでも食べて忘れるに限る。

 に怯えて生きるのは楽しくないだろうし、そんなんじゃ俺の夢は叶わない・・・・・・・・からな。

 

 

 

 

 

第7話 End

 

 

第8話(1/?)に続く